地方の古い団地には、夜になると独特の静けさがある。 一戸建ての住宅街とは少し違う。 人がいる気配はあるのに、生活音だけが遠い。 ベランダの物干し竿とか、階段の蛍光灯とか、そういうものだけが夜の中に浮いて見える。 仕事帰り、近道をする時だけその…
地方のファミレスは、深夜になると少しだけ空気が変わる。 昼間は家族連れや学生で騒がしいのに、日付を越えたあたりから急に静かになる。 店内の音が、妙に遠く聞こえるようになる。 ドリンクバーの機械音とか、厨房の皿を片付ける音とか、そういう小さい生…
地方のコインランドリーは、夜になると急に生活感が薄くなる。 昼間は主婦や学生がいて、洗濯物の匂いや話し声が混ざっているのに、深夜を過ぎると、ただ機械だけが動いている場所になる。 あの感じが昔から少し苦手だった。 仕事が遅くなった日の帰り、久し…
地方のバス停は、夜になると少しだけ現実感が薄くなる。 昼間は普通だ。 学生や買い物帰りの人がいて、特に気にも留めない。 でも、夜になると急に【待つ場所】になる。 あの感じが昔から少し苦手だった。 高校の頃、駅から少し離れた場所に住んでいた。 終…
地方の商店街には、時間が止まったままみたいな店がある。 シャッターは閉まっているのに看板だけ残っていたり、色褪せたポスターが何年も貼られたままだったりする。 あのゲーム屋も、そんな店のひとつだった。 高校へ入る少し前に閉店したから、もう十年以…
夜の山道にある自販機は、どうしてあんなに明るく見えるんだろうと思う。 街中なら気にならない光なのに、周囲に何もない場所だと、あれだけで少し異質に見える。 大学の頃、夜中によく海沿いの道を走っていた。 特に目的があったわけじゃない。 コンビニで…
夜のドラッグストアは、明るいはずなのに少し怖い。 特に雨の日はそうだ。 店内の白い光が濡れたアスファルトに反射して、駐車場全体がぼんやり浮いて見えるせいか、昼間には気にならないものまで目に入ってくる。 国道沿いにあるその店は、地元の人なら誰で…